本書の特色 グリーン関数法を技術者や科学者が広汎に容易に利用できるように、グリーン関数そのものを非常に分かり易い方法で、物理的な背景のもとに解説がなされている。 読者は常微分方程式と偏微分方程式の簡単な予備知識さえあれば、あとはベクトル解析のグリーンの定理や発散定理、さらにラプラス変換などを学べば、本書は容易に読み通すことが出来るようになっている。従来発展させられた多くのグリーン関数法は、もしいま扱っている問題のグリーン関数が求められたと仮定したとき、あとは非常にうまく問題が解けるという形式のものであった。しかし、一般に、任意の与えられた領域に対するグリーン関数法のネックとなっていた。このような場合でも、最近はグリーン関数を数値解析または実験によって求められることが行われており、電子計算機や実験技術の発達に伴って、グリーン関数法も余程使いやすくなってきている。他方、最近種々の工学分野で境界要素法が脚光を浴びており、特に３次元問題、無限領域の問題では有限要素法に代わって威力を発揮しているが、この定式化には、まさにこの本の述べているグリーン関数法が用いられており、境界要素積分方程式を種々の分野で用いる場合にも本書が役立つであろう。